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ね、君が行きたいところへ行こうよ

ね、君が行きたいところへ行こうよ

***コトリのお花畑には・・・***

そのコトリは、お花畑を作っていました。

お水をやりに通れるだけの、自分の歩幅分だけの通り道があって、
左右には、色とりどりのお花が並んでいる・・・そんなお花畑です。



コトリは、花たちをとても大事にしていて、
花たちもそんなコトリの気持ちに応えるように、いつも幸せそうに揺れていました。




そんなある日、きつねがやってきました。

「やぁ、なんだかとても綺麗なお花畑だね!
ちょっと中を見せてよ!」

コトリは大事なお花畑を褒めて貰えて嬉しくて、

「もちろん!さぁ、どうぞ!」



キツネは嬉しそうに入って行きました。

ところが・・・・
その次の瞬間、コトリは悲鳴をあげました。

きつねは、コトリのお花畑にある通り道を通っては行くのですが、
思い切りはみ出て・・・


道際の花たちは、思い切り踏みつけられてしまったのです。


なのに、きつねときたら気づきもせず、

「なかなか綺麗だったね。
ちょっと道が狭いなぁ。

んじゃ、またっ!」



そんな風に言って帰って行ったのです。



コトリは、泣きながらお花たちに添え木をしたりして看病しました。

「ごめんね。ごめんね・・・。」

コトリは泣きながら、何度も何度も謝りました。







しばらくたって、お花はなんとかみんな元に戻りました。

でも、コトリは怖くて仕方ありませんでした。
大事なお花を守れなかった自分を責めては、涙をこぼしました。


それ以来、コトリは日中ずっとお花畑を見守り続けました。

夜には、くたくたになって・・・



でも、守らなければ・・・




そんな日々が続き、ある日ついにコトリは倒れてしまいました。


夜空を見上げると、星がキラキラ瞬き・・・

コトリの目から、ふと涙がこぼれ落ちました。




ふと、何か音がしました。

振り向くと、もぐらがいました。




「どうしたの?何故泣いてるの?」

「お花を、私のせいで踏まれてしまったの・・・」

コトリはきつねが来たこと、お花を踏みつけられたことを話しました。






「それはね、きつねはキミのお花畑に入るには、少し大きすぎたんだよ。

キミのお花畑は、キミがやっと通れるくらいの道しかない。
でも、きつねの足は、その道の5倍くらいはあるだろう?


きつねは、キミを傷つける気も、キミの大事な花たちを踏みつける気もなかったと思うよ。

ただ、キミは案内する道を間違えちゃったんだよ。



これからは、お花畑の周りを歩いて見て貰うようにしてごらん。

そして、キミのお花畑を踏みつけないかどうか足の大きさをよく見て、キミが大丈夫か判断したお客さんだけ、中に招き入れればいい。

そのためには、キミは自分の大きさをちゃんと知る必要がある。
大事なものを守るためにね。」





コトリは頷きました。




誰も、わざわざ誰かを傷付けたいとは思わない。
でも、時として、誰かを傷つけてしまう。

大事なものを守るには、自分を知ること。

相手を見極めること。


誰かを、憎んでしまわないように。
自分をちゃんと守れるように・・・。







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